ヒト、カネ、ミライの3つを支援し
限界突破を可能にするコンサルタント【前編】
ヒト、カネ、ミライの3つを軸に支援する財務コンサルタントであり組織コンサルタント=限界突破コンサルタントの黒田康司氏。経営者が自身の得意分野に専念でき、その能力を存分に発揮できる環境づくりや組織づくりまでサポートする黒田氏に、自身のコンサルティングの特徴や強みなどを聞いた。(聞き手:伊藤秋廣(エーアイプロダクション))
事業内容についてご説明ください。
黒田:平たく言うと経営コンサルタントです。ヒトとカネとミライの3つを支援する仕事をしています。そのため財務コンサルタントや組織コンサルタントとも言えますが、それらを総称して「限界突破コンサルタント」としています。
「限界突破」に込めた意味は?
黒田: 経営者は自分のビジネスについてはスペシャリストですが、人のことやお金のこと、これからの未来を描くことに関しては不得意科目であることが多く、そこが限界を生んでいると感じています。幸いなことに、それら3つは私の得意科目でもあります。お金のこと、人や組織のことや未来像を描くことにも前職からずっと関わっています。よって、私が経営者とタッグを組むことで経営者の苦手分野を支援することができるので、経営者にとっては本業に集中ができて限界を突破しやすくなると思います。
例えば、経営者は得意科目である自分のビジネスに関しては、1時間もあれば良い結果が出せるかもしれませんが、不得意科目に関しては、1時間もかけてもあまり生産性は高くないと思います。そこに私が入り、最終意思決定までに至るプロセスをお手伝いすることで、同じ1時間であっても多くの成果をあげられます。
つまり多くの経営者は時間的な制約が限界となっているので、私がヒト・カネ・ミライの分野でお手伝いすること物事が早く回り、優秀な経営者が力を発揮してその企業が限界突破するという方程式ですね。
経営者が時間を無駄に費やしている要因は何か。またそこにどのようなサポートができるのでしょうか。
黒田:経営者が時間を無駄に費やしているパターンは、不得意なことに時間を使っている、人が有効に活用できていない、経営判断に迷っていることではないでしょうか。
例えばデータをまとめて数字を作り分析をするといったことが不得意な方も多いので、最初は私が代わりにやることで、これまで「なんとなく利益率が低いな」と感じていた部分をあぶり出す労力や時間を創出できます。また、問題が混在している状態を切り分けするだけで、その先の解決に至る時間も短くなります。本来は問題解決も自走させることが重要なので、それを仕組み化するお手伝いもしています。
人の採用や組織作りも仕組み化です。例えば人は足りているけれども成果があがらないといった時は、人が動きやすい組織にすることが重要になります。その際は、人は結局のところ、自分がやりたいことしかやらず、命令すればその通りにやるというのは幻想で、実際は命令されたことをやらない方が損だから従っている、という考え方を基にしています。
「どうすれば利益が出るのか」と考えても、実際にはなかなか答えが出ない経営者も多いです。そのときには「どの方向に行きたいのか」と未来の話をすることも重要です。経営を山登りに例えると、経営者の描く「未来をこうしたい!」という姿は、登るべき山になります。まず、どの山を登るのかを明確にし、経営の置かれている状況すなわち現在地を確認し、頂上に至るまでの道筋と行く手をはばむ難所をどのように攻略するかを経営者にイメージしてもらうお手伝いをします。
事業にはどこまで関与するのですか?
黒田:最終的にその会社がどこまで行けるのかは、経営者次第と考えています。到達できる山の高さは経営者で決まっていますが、そこにたどり着けない場合があります。いろいろな課題が出てくる中で、お金や人の課題については私もお手伝いできますが、事業のコアな課題解決のためには、やはり経営者の持っているポテンシャルをいかに引き出せるかが重要になってくると思います。
私に何ができるかというと、何もできないと考えています。しかし経営者ができることをフルにやってもらうお手伝いならできます。
お金や人の問題といった事業の基礎・土台となる部分を整えると、経営者はポテンシャルを発揮しやすくなります。事業の良い点を上手く言語化できない経営者も多くいるので、それを紐解くことも私の仕事だと思っています。
黒田さんと一緒に経営者が自分の現状を分析することで、自ずと自分の会社の強みなど見えてくることがありますね。黒田さんとのセッションの中でなんとなく見えてきたことを事業に繋げようと考えたときに、会社としてその事業を展開できるかどうかというのは、人やお金の部分の屋台骨がしっかりしている会社でなければ難しい、ということですよね。
黒田:取れる選択肢は、当然その会社が持っている基礎体力に縛られますね。
例えば最先端のビジネスモデルを思いついたとしても、街中にある数人規模の会社ですぐに実現出来るわけではありません。私ができることは、経営者のアイデアを掘り下げていき、自分たちが目指すビジネスモデルにどうすれば近づけるのかを紐解いてあげることです。
私が何を言っても、経営者は腹落ちしなければ動かないので、ストーリーが見えている状態を作ることが大事です。
アイデア出しと並行して会社のお金や組織、人の問題を整えていくことで、そのアイデアが会社のボディに乗って拡大できるような流れを作っている、ということですか?
黒田:最初に経営者にどうなりたいのかを伺いますが、現状分析をする中では越えるのが難しい壁も出てきて、方向転換もしながら進みます。最終的に見えてくるものがあるので、そこまでは試行錯誤が続きますね。
対話をしながら長い時間をかけて、途中で変わるかもしれないゴールに向かって寄り添い続ける、という関わり方をされているのですね。
黒田:「仮説検証」と言いますが、やっていることとしては仮説を立てて検証しているだけです。当然に途中で異なる道筋を選ばなければならないことあります。
時には選択しないということが正解のこともあるかもしれませんが、多くの場合は困っていることがあるならば何かしら選択しなければなりません。そこに気づいてもらうことも大きいですね。
どういう状況にあって困っている方が多いのでしょう?
黒田:多いのは資金繰りですね。銀行残高は毎日確認していても、売り上げは月に1回、財務諸表に至っては年に一度しか見ないことが多いので、現預金が少なくなったときに初めて気づくことが多いようです。「売り上げが落ちてきたな」ということに気づいても、赤字や収益が下がっていることに気づくのは1年後ということも少なくありません。現預金の減少に気づいても手遅れのような状態であることも珍しくありません。
そこからのアプローチは?
黒田:まず数字を見せるのが一番だと思います。会計を税理士さんに丸投げしている会社もありますが、そうすると売上くらいは見ていますが、税理士さんによっては依頼しなかったら毎月の結果を出さないところもあります。データを細かいところまで確認して、例えば、「ここで○○をしたから資金繰りが厳しいのではないか」といったことを示してあげることが近道だと思っています。
どのように立て直すのでしょうか?
黒田:応急処置と同じで、まずは出血を止めます。例えば運送会社であれば、どれくらいリースでお金が出て行っているかを示して、当面新しいトラックの購入を止めてもらいます。
そして会社の分析を進めて、その会社が毎月どれくらいのお金を生み出せて、毎月どれくらいの支払いがあるのかが見えてきたら、次は「どこまで使えるのか」という話をします。スタートはそんな感じで進めていきます。
怖いのは、人件費でけっこうな額が出てしまっている場合ですね。本当は「人を辞めさせてほしい」と言いたいところですが、それはなかなか難しいですよね。そうなると売り上げを上げるしかなくなりますが、他に削れるところを探すということもしていきます。
黒田さんのようなアプローチは珍しいのではないでしょうか。
黒田:他のコンサルタントとの違いとしては、やり口を固めていないところだと思います。
コンサルタントの中には対策ありきで企業に入っていく人もいますが、私はそれはやりたくありません。私は出血点を見つけることはできますが、出血している動脈に私の手が届かない場合は他の人にお願いします。自分の手が届くところであれば、まずは応急処置をします。
黒田さんの分析力の源泉はどこに?
黒田:私は物事の仕組みが分かっていないと嫌だという性格です。
例えば事業を見たときに、「ここをこうすればこう変わる」というストーリーを自分の中で作れていないと嫌ですね。ですから「ここだけを直してほしい」と言われるのは嫌かもしれません。
要因=現象ではなく、そこにはたくさんのブラックボックスがありますよね。そこにはたくさんのポイントがありますが、黒田さんはそのブラックボックスの流れを感覚としてつかみやすい方なんですね。
黒田: マクロで見るものとミクロで積み上げるものの差が、あまり大きくならないように考えることができる、ということかもしれません。ミクロで積み上げたものとマクロを比べる、という感覚がとても好きですね。
黒田さんは感覚も大切にしているけれども、その現象には要因があるということも常に見ているから、その根拠を積み上げていきながらその人の未来を考えてアドバイスしてくれるのですね。そして世の中の変動に合わせてそのシミュレーションも変えてくれるから、長いお付き合いができるということですね。
黒田: 金融工学をやっていたときも、「せいぜいこの範囲で収まるはず」という予想を持ちながら分析を行うのが重要だと考えていました。
世の中が変化した場合も同じで、これまでの状況と変わっていることもよくあります。私の場合は「今はこの範囲だろう」ということを比較的早く認識することができると思います。
変化に素早く対応できる、ということが重要ですね。
黒田:そこは「勘」としか言えないのですが、もちろん検証もしています。
新しいことに対する検証は時間がかかってしまうので、その点はリスクでもありますね。
科学分析官みたいなコンサルティングですね(笑)。
黒田:だからこそ、仕事を面白いと思っているのかもしれませんね。
自覚している強みとは。お客さんからよく言われる言葉など教えてください。
黒田:お客さんからは「よく見ているね」と言われることがあります。マーケット分析をすることがありますが、その業界の中でバリバリ仕事をしている人に説明をするので、当然ながらその人は知っていることが多くなります。しかしそれをきちんと言語化して伝えるのは、喜ばれることも多いですね。
それは第三者目線で見ているというよりは、繋がりや仕組みを自分なりの解釈をして伝えることで喜んでもらえます。もちろん間違えている部分は直されることもありますが…。
お客さんも再認識できることがある、ということですね。
黒田:整理をして改めて見える化する、というと大げさかもしれませんが、自分の中で仕組み化をして、体系化して示しているという点で信頼を得られているのかもしれません。