事業計画が作れません

いつも「事業計画は?」って聞かれる!

金融機関から融資を受けたり、補助金を申請したりする際、必ずといっていいほど「事業計画」が求められますよね。多くの場合3年分ぐらい、長いと5年・10年の計画が必要になります。

「そんな先のこと分からないよ」「てきとうに鉛筆舐めれば良い訳でしょ」まで、経営者の皆さんは思うところがあるのではないでしょうか。

ところで「3メートル」って高いと思いますか?

走り高跳びの世界記録は1993年にキューバのハビエル・ソトマヨル選手が記録した2.45m、バスケットボールのリングまでは3.05mなので3mは比較的高いと見ることができます。一方、日本一低い山と言われる宮城県仙台市の日和山の標高は3m(東日本大震災前は6.05m)だそうで山として見れば相当低いことになります。

また、同じ高跳びでも棒高跳びの世界記録は、2024年にスウェーデンのアルマンド・デュプランティス選手が記録した6.25mで、3mというのは平凡な記録ということになるでしょう。

「何の高さなのか分からないと、なんとも言えないよ」これが当然の反応だと思います。一般に数値には客観性があると言われますが、どういう前提条件での数字なのか・・・棒を使えるのかどうか等・・・が分からないと意味を持たないのです。

事業計画でも同じです

売上高は事業計画における重要な指標のひとつで、例えば「売上高3億円」は企業として機能するための一つの目安といわれています(・・・成長が止まる壁ともいわれますが)。仮に、それが原価割れで商品を売りまくった結果で到達した3億円だとすればどうでしょう。これはあまり適切な経営ではないと思われるでしょう。

しかしながら、これが商品の保管コストを削減するための損切りで、原価割れの商品を処分した後で「1億円の減収」となって、利益が残る体質になったのであればどうでしょうか。

事業計画において数値計画は重要な要素ですが、どのような前提のもとでの数値であるか、ストーリーを伴ってはじめて意味を持つということなのです。

伝わったことが伝えたこと

童謡「やぎさんゆうびん」(作詞:まどみちお)はご存じでしょうか?白ヤギと黒ヤギが手紙を送りあうが、ヤギだけに手紙を食べてしまい、お互いに「ご用事なあに?」となる、ほのぼのとしたお話しです。

これは見方を変えると、ヤギにとって手紙は情報伝達と食料という二つの価値観があり、おながすいていたのか食料としての価値が優先された結果、情報伝達が行われなかったということになります(「せめて手紙を読んでから食べようよ」とは思いますが)。

すなわち、情報は発信者が何を伝えたかではなく、受信者の価値観というフィルターを通して伝わったものが、伝えたものとなり、相手の認知が情報を伝える前後で変化してはじめて成立するのです。平たく言えば人のココロを動かしてナンボということです。

ココロを動かすって難しい

古来から人は他者のココロを動かすことの難しさに悩んできたのでしょう、哲学者アリストテレスは「弁論術」として、「ロゴス」(Logic・論理)「エトス」(Ethics・倫理)「パトス」(Passion・情熱)が必要だと説いています。

これは事業計画でも同じで、一般的な事業計画のひな型でも、事業内容および計画の論理的な説明、社会的な意義といった正当性、経営理念やミッション・ビジョン・バリューに込めた想いを伝えることが求められています。事業計画は受け手が何を求めているのか明確になっている点で、一般的な他者の説得等に比べると取り組みやすいのではないでしょうか。

事業計画は所詮は絵に描いた餅?

さて、相手のココロを動かすような素敵な事業計画ができました!これを目指せば明るい未来が待っている!そんな簡単なハナシなのでしょうか?事業にはコロナ渦のような想定外の困難がつきもので、日々進化していく競争相手もいるので、思った通り・計画通りにはいかないことの方が普通です。では、事業計画は絵に描いた餅で意味の無いものなのでしょうか?

事業計画はモノサシ

わたしたちは「事業計画は目標ではなく、モノサシだ」と考えています。

事業計画を作ったら最初の一歩は計画を目標として踏み出すことになると思います。しかしながら計画と現実は様々な要因で乖離していくことになりますが、それでも良いのです。むしろ環境が変わっているのに計画に固執する方が危険とも言えます。

計画が無く環境に対処することで得られた実績は、3mの高さを高いとみるか低いとみるかということと同じで、評価すること自体が難しく改善すべきなのかさえ分かりません。事業計画があることで、何が乖離の原因でどのような改善をしていけば良いのか、はたまた計画自体の精度が低かったのかということを検証するモノサシになるのです。

社長の壁打ち相手は必要ないですか?

せっかくの事業計画も、他者に伝えてみてフィードバックを得て、鍛えあげていかなければ、自己満足の域を出ないものです。壁打ち相手としては最近のAIもなかなか良いですが、事業計画策定のスパーリングパートナーならふかがわ経営企画に一度ご相談ください。